日々のモノローグ

映画の感想やアメコミとかの趣味ネタ、なんとなく思ったことを備忘するための雑記帳

【アメコミ】バットマン:ワン・ダークナイト

2025/5/27発売
2025/5/28購入

アマゾンだと電子版だけみたいなんで、紙の本はこっちから。

【流通限定】バットマン:ワン・ダークナイト | ShoPro Books|邦訳アメコミ|DCコミックス

それは、ありふれた任務のはずだった……。うだるような暑さの夜、バットマンは5年前に事件を起こしたスーパーヴィランE.M.P.を新たな刑務所へと移送するあいだ、上空から警護する任に当たっていた。だが、予期せぬ事態が発生。電気エネルギーを吸収する能力を持つE.M.P.が脱走し、ゴッサムシティの電力供給を停止させてしまったのだ! 光が失われ、闇に包まれた街は無法地帯と化す。ゴッサム中のギャングたちがE.M.P.を狙い、警察内部にも陰謀が渦巻く中、バットマンは夜明け前までにE.M.P.を目的地まで送り届けることができるのか?

DCコミックスのBLACK LABELというシリーズ。続き物っぽい要素を抑えて、単発で楽しめるように作られている作品群。全般的に割と大人向け。いわゆる正史とは関係がないので、本書であれば「バットマンって夜な夜な悪人と戦っている人ですよね」くらいの知識でも読めるはず。

本作はあらすじの通りある一夜の戦いを描いたもの。バットマンがA地点からB地点に囚人を運ぶというだけで至ってシンプル。その中で、ハイテク機器を失った状態のバットマンが闇に包まれたゴッサムで苦闘する姿が存分に描かれています。ちなみに原題は"ONE DARK KNIGHT"なので、一夜とバットマンをかけているのですね。オシャレ。

本作ではジョーカーとかのお馴染みのヴィランはあまり出ておらず、キラークロックくらい。(キラークロックってお馴染み?自分の感覚に自信がない。)

護送する囚人にしてもたぶん初出のキャラクター。シリーズお馴染みのキャラクターといえば、執事のアルフレッドとゴードン本部長くらいで、あとはモントーヤくらいだけど知らなくてもOK。絵柄にちょっと癖があるけど、そこは慣れなのでここから読んで大丈夫。


個人的には、バットマンのお話は超宇宙的な存在と戦うとか、歴史改変を止めるとかそういう系よりも、ゴッサムで閉じた話の中で苦闘するプロットの方が好みなので、本作も大いに楽しめました。

紙版で買ったので、↓のポスターが付いてきた。明け方が見えてきた色使いがとても良い。しばらく部屋に飾ることにしました。
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余談。
BLACK LABELからも時々シリーズ化する作品が出てくる様で、"BATMAN WHITE KNIGHT"は既に3冊は出ていたはず。いわゆる正史も大河ドラマ的に楽しめるけど、制約にとらわれず色々な角度からキャラクターを掘り下げるのは単発系の良いところですね。
近いところでは、if系作品のスーパーマン:レッドサン(スーパーマンカンザスではなくソ連に落ちていたら)で出てきたスーパーマンも、後年のクロスオーバーでちょっとだけ登場したりするし、そうやってキャラと作品の厚みをどんどん増やしていくのはアメコミならではな感じ。


昔出ていたELSE WORLD系の単発作品なんかも見かけたら買い漁ってますが、なかなか出回らない上に何冊あるかもわからないので難しい。まとまって売ってるところないのかな。

映画館の上映前に流れる広告

シネアドというらしい。

岸部露伴見に行ったとき、朝早くだったこともあるのか割と上の年代が多かった印象だった。

ところがこのシネアドで少女マンガ原作と思しき胸キュン的な(←古い)映画や、ジャンプ原作系の若者向け映画とかが延々と流れていて、かなりのミスマッチを感じた。ああいうのは、正しいターゲットに向けないと逆効果ではないだろうか…。

いや、何歳になっても、「アイドルと地味な私が恋してヤバい」みたいな作品楽しめる人はいるだろうけどね。少数派ではないかと。

なんとなく見てるこっちが気恥ずかしくなるんで、もうちょっとターゲティングしてくれると嬉しい様な。でもあれか、全く自分がノーマークの作品も知れた方が、案外幅が広がって良い面もあるのかな。

 

1年に1回以上映画館に行く人の割合は、均して全体の半分くらいらしい。多いのか少ないのか。

若年層ほど「映画館に行く頻度」が高く、年代によって一緒に行く人に違いも : LINEリサーチ調査レポート|リサーチノート powered by LINE

映画館に行く人たちは、別にシネアド無くても好みの映画を自分で探して見に行くんだろうし、広告の効果はいかほどか。これはほぼ様式美みたいなものかもしれないですね。

【映画感想】岸部露伴は動かない 懺悔室

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2025/5/23公開。
2025/5/25鑑賞。
面白かった。70/100点くらい。

 

原作の「岸辺露伴は動かない 懺悔室」は岸辺露伴シリーズの1作目で、当時はシリーズ化の予定は無かったと思われる。懺悔室でずっと話を聞いているだけだから、岸辺露伴は動かない。ということ。
でも映画ではとてもよく動くヴェネツィアを歩き回る。
高橋一生がもはや露伴ご本人様と化しているので、それだけでも絵になるのが素晴らしい。(岸辺露伴があちこち旅する旅行番組とかやると割と面白そう)

>原作との違い
映画は原作準拠+オリジナルの独自展開。露伴が懺悔室で耳にする、ある男の懺悔(ポップコーン投げ&キャッチとその顛末の告白まで)が前半でここは原作とほぼ同じ。後半はそこからの続きが展開されるオリジナルとなっている。

原作では、一度は浮浪者の怨霊による復讐をやり過ごした男は、そのために犠牲にした使用人の怨霊も新たに引き連れて、呪われた日々を生き続けるというところでおしまい。露伴は呪いを背負っても生き続ける男の姿に、「こう思うのは自分だけかもしれないが、尊敬の念を持つ」と独白する。映画の前半部分は後半への仕込みを除いて、筋書きはほとんど変わらない。(この露伴の独白は、映画の最後まで引っ張る形になっている。)

>オリジナル展開
後半は、懺悔が終わったその続きが展開する。要は、原作では男は呪いを背負い続けるオチだが、その時に「こいつの娘が幸せの絶頂の時に、改めて復讐しにくるぞ」と言っているので、そこを広げた感じ。

男は、自分と同様に娘にも「幸せが襲ってくる」ことを察し、あの手この手で幸せを遠ざけようとする。不完全にしようとする。幼い頃から縁起が悪いアイテムとして割れた鏡や、黒猫の人形を持たせたりしていてかなり偏執的になっている。いつしか男は、娘が幸せになると自分が怨霊に殺されると思い込んでいるからですね。
それでも、結婚して幸せを掴もうとする娘に対して、花婿の殺害という手段まで取ろうとする。実際呪われているからあれだけど、だいぶ病んでいる。
で、実のところ「最大の絶望」とは自分の死ではなく、「愛するものの死」ということで、花婿を狙った銃弾は花嫁である娘を襲うことになってしまう、という話。

そこを(原作とは違って)よく動く露伴が介入していて、結果的に娘の命は助かり、娘への呪いは解ける。しかし男への呪いは続いていく…。で、原作にもある露伴の独白で終わり。

>気になったこととか。
露伴を動かさずに話をまとめていた原作って凄かったと再確認。
・実写の役者さんたちは、特に浮浪者の戸次氏と、呪われる男の大東氏が素晴らしかった。ポップコーンのところとか、実写で成立させるには相当の役者パワーが必要だと思う。よく考えずとも相当シュールなんで。
・オリジナル展開も、ロケーションも相まって悪くはなかった。
・巻き込まれて、漫画の増刷とか余計な幸運が舞い込んでキレる露伴は解釈一致。確かにあれはキレそう。
・ちょっとだけ気になったのは、あれだと男がまた娘に再会したら、娘にもまた呪いや危害が及ぶのでは?という点。(娘への幸運の呪いが解けているのは、指輪をはめる時に落としてしまう描写で示唆していると思うが、男への呪いも生きているなら、まだどうなるかわからないのでは)
・おそらく本当の呪いは、男が娘への愛を失ってしまっていること。というオチなのかと。1度目に呪いが降りかかったときは、娘の存在に最高の幸せを感じていた。しかし、その後では自分の命が大事になり、娘の幸福が最大になることを避け続けてしまうという皮肉さがキモかと思います。実際、狂言で娘が撃たれた時に、男はうわ言のように「助かった…」と呟いて去っていくところからも、それが窺えます。

幸せってなんでしょうね。確かに、幸せを得ると失うことを恐れてしまう。
休日は嬉しいけど、始まった瞬間にはもう終わりを想像してしまって、仕事を思い出して辛くなる的な。(違うか) でも、じゃあ休みはなければ良いのかというとそうでもない。
大きな喜びもないが、大きな不幸もない生活が良いかも。吉良吉影みたいになるけど。


 

 

 

 

 

 

【アメコミ】シビル・ウォー

MCUじゃなくてこっちの話

シビル・ウォー (MARVEL)

シビル・ウォー (MARVEL)

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若手ヒーローがヴィランとの戦いの中で能力を暴走させてしまい、大惨事を引き起こしてしまう。(しかも配信していた)

それがきっかけで、超人を野放図にすることに危機感を持った政府が超人登録法を作り、国がヒーローを管理する体制に移行することになる。それに対する是非を巡り、賛成派のアイアンマンと反対派のキャプテンアメリカを中心に対立が発生するみたいな話。

内戦と称するほど激しい内部対立を生み、結果として守るべき市民を苦しめていたことに気づいたキャプテンアメリカが投降することで、一旦の終息を迎えるというオチ。

作品的にはキャプテン側に肩入れして描かれているので、アイアンマンが悪辣に見えてくる。トニースタークとしては正体が政府に知られてもどうでも良いが、スパイダーマンとかデアデビルみたいなどちらかというとストリート系ヒーローは正体を隠すことが死活問題なわけですね。その辺のパワーバランスからすれば、不利なのはどうしてもキャプテン派なので。一応、トニーとしても法案の不備や問題は内部から変えていこうと言ってるので、キャプテンもなかなか頑固なところもある。その辺のバランス取りはライターもかなり苦心した節が見えるところ。

このシリーズ、当時のマーベルではあらゆる刊行誌に影響したクロスオーバーで、やたらとサブストーリーが多い。スパイダーマンに至っては2冊ある。

たぶんうちに両方あるけど埋もれてて発掘できない。

スパイダーマンシビルウォーの中で、最初はトニーの理念に共鳴して、なんと率先して超人登録を行い、ピーター・パーカーとしての正体も公開してしまう。

その後、アイアンマン派というか、政府側が未登録ヒーローを狩り立てる様子を見て疑問を持ち、キャプテン派に転向するという流れ。

しかしピーターとしての正体は世間とかヴィランに割れているので、これによって身内のメイおばさんが危険に晒されてしまう…という、踏んだり蹴ったりなストーリーでした。

この辺は、メインストーリー側の所謂「誰が見張りを見張るのか」問題と対で、「人々を守るヒーローのことは誰が守るのか」みたいな裏テーマがある気もします。

この原作版シビルウォーをいま思い出したのは、なんだかいちいち騒がしいYouTuberや、ちょっと飛躍するけどトランプ大統領とか傍目にはメチャクチャに見える人も支持する人がいるんだなとふと思って、結局そういうのも母体は世の中の人々だから、その怨恨とか欲求とか、あとは知識レベルとか、そういうものに依存するよなと思った時に、このシビルウォーの肝もそこにあるかなと連想したからでした。うーん回りくどい。

 

【映画感想】サンダーボルツ*

2025/5/2公開。
2025/5/5鑑賞。

元々、MCUはエンドゲームまでは追いかけていて、それ以降は程々にという典型的なパターン。アイアンマンからエンドゲームまでは何だか凄いものを見させてもらっていた感覚があって、リアルタイムで追いかけられたのは幸運でした。


その後はエンドゲームまでの反動があったということもあるけど、何か個々の作品の魅力とか、キャラクターの牽引力みたいなものが感じられなくなっていった気がしていました。
ロキや、ガーディアンズ3なんかはとても良かったですが、
エターナルズとかマーベルズあたりは見ても見なくても…という感が強かった。


そんなわけで、MCUは少し関心が薄れてましたが、こないだ偶々見たキャプテンアメリカ・BNWが思ったより良かったので(というか何か仕切り直しの感があったので)、それならこっちも見てみようという流れで鑑賞してきました。


>コミックのサンダーボルツ
コミック的には、マーベル版のスーサイドスクワッドですかね。(あっちはアマンダ・ウォラーが強烈すぎるから似てると言い切れないけど)
B級だったり、元ヴィランだったり、そういうキャラの再利用という側面があると思います。いろいろ変遷しているが一応分類的にはヒーローチームなのかな。

映画のキャラでコミックでもサンダーボルツに居たことがあるのはゴーストだけな気がする。たぶん。なのでモチーフというかテーマだけ流用している感じですね。

>良かったところ
・エレーナ
この作品の中核。タフでステゴロも強い美人の善人って無敵。感情をセリフや表情に乗せるのが上手いので、どのシーンも良かった。(実はブラックウィドウを見ていないが気にならなかった。)
・食洗機で義手を洗うバッキー
さすがワカンダ製。
・なんかイーストウッドみたいなバッキー
バイク乗りながら銃をぶっ放すシーンが異様に格好良いですね。ナイフアクションも健在で地味ながら要所を抑えた活躍ぶり。ええ、単にセバスチャンスタンが好きなだけです。

あとレッドガーディアンがコミカルで良い。てかあれ頑丈なだけのおっさん?

全体的に映画としてはやや地味で、味方側のキャラクターは殆ど常人+αくらいなこともありアクションもステゴロが中心。でも、おそらくこれは意図しているものです。
作中でも彼らはB級とか負け犬とか言われているわけで、泥臭い戦いが大半。特殊部隊を差し向けられたらひとたまりもない。一応、透過能力があるゴーストも対策が完備されていて独力ではどうにもならないあたり、個々人の力ではどうにもならない状況にキャラクターを放り込むということは徹底していた様に思います。

そもそも、味方側のキャラが手を組む経緯も、CIA長官の犯罪を隠匿するために抹殺されかかったエージェントたちが手を組むみたいな話なので、そこの展開は無理なく進んで良かったです。最終的には、そうした利害を超えて団結しようとするところにカタルシスを設計していると思います。

キャプテンアメリカBNWでも思ったのですが、どうも映画のシナリオと、エンドゲーム以降のいまいち感が続くMCUの状況というものをダブらせている様な気がします。
キャプテンアメリカBNWも、偉大な先達としての初代キャプテン・アメリカとかアベンジャーズに対して、自分たちはどうするのかみたいな話でしたが、サンダーボルツもそう。一流ならざる立ち位置の自分達がどうするべきかという展開は、ちょっと似たものを感じます。
だから、最後の展開がサンダーボルツ→ニュー○○○○○○○ということなんだと思います。

元々善性を持っていたボブくんが家庭環境で荒み、その上怪しげな実験の被害で暴走してしまったという状況に対して、倒すではなく救うという展開にしたのも良かった。そもそもセントリーは強すぎて倒せる相手ではないので、そこもあえてだと思いますが、救う過程で各キャラクターが自分とボブくんを重ねて見ていたということかと思います。

>もうちょっとなところ
・ゴーストが存在感もゴースト
透過能力でのアクションはよかった。でもそれだけ。偽キャプテンアメリカくんやレッドガーディアンのうざさに埋没気味。
・タスクマスターの扱い
タスクマスターって単独誌も出してたこともある割と大物だと思ってたんですが、あれで良いんですかね…。あんまり必然性を感じなかった。
・セントリーってどんなやつかわからん
コミック知識があるので一応想像はつくのですが、初見の人はセントリーがなぜあそこまで強いのか、最後の決着もあれで良いのかなど納得いかないこともあるんじゃないかな。
たぶん、そこの説明は潔く捨てていて、ボブくんのメンタルの方に振っている意図した設計だとは思います。

総じて、100点中で50点くらいいければ御の字かなと思って見にいったところ、意外と悪くなくて70点くらいはあげても良いかなという映画でした。
たぶんキャプテンアメリカBNWともども、少しMCUの仕切り直しも意図していると思うので、昔見ていたけどしばらく見ていなかったなんて人も満足できるのではないかと。


以降はネタバレ気にせずコミックの話も含めて雑多な内容。

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